池井戸潤の空飛ぶタイヤを読んだ感想【ネタバレあり】まさかあの人が!

半沢直樹に始まった、最近の池井戸潤さんのドラマラッシュ
テレビドラマも面白いけど、原作はどうなのって思って
空飛ぶタイヤという作品を読んでみた。

夜に読み始めてしまったのはまずかった。
徹夜してしまった私がいました。

もし、あなたが読み始める時は、時間の余裕が有る時が望ましいかと(笑)

taiya

物語の流れと構成、あらすじ

 まず、物語は、過去自動車会社のリコール隠しをモデルにトラックのタイヤが脱輪して死亡事故が起こった事例を合わせて作られています。

その物語の主人公は、脱輪したトラックの運送会社の赤松社長。
事故の原因調査を進める過程で、自分の会社の整備状況に不備はないのに、原因調査結果(トラック製造会社担当)は赤松運送の整備不良。当然、その結果に納得いきません。

 事故が原因で、被害者との訴訟、取引先からの契約打ち切り、銀行の融資打ち切り、マスコミのバッシングなど、次々と不幸が訪れて、とうとう会社は倒産寸前に・・・

 そんな中、他県でも同様の事故が起きていることを知り、話を聞いていく内に、整備以前のトラック本体に問題があったんじゃないかという事実に赤松社長は行き着きます。

そこから、逆転劇がどんどん進んでいくんじゃないかと予想したら、とんでもない。

世の中の不条理がこれでもか、これでもかというくらいに襲ってきて、まさに急転直下、毎日がジェットコースターかってくらいに翻弄されていきます。

とにかく、読み始めたら、つい次の物語を読み続けてしまいたくなるくらい、ストーリーはスリリングです。
先が気になって眠れないってならないように気をつけて下さい。

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緻密な設定と妙なリアリティあふれる登場人物

元々が、実際にあった事件をベースに物語が作られていることもあるのでしょう。登場人物が生活している会社や組織のあり方が、ものすごく具体的で、妙なリアリティにあふれています。
そんな人会社にいるよね、会社の中なら、そういう風にみんな行動するよねって思わずうなずいてしまうほどです。

学生さんとかは理解できないだろう、会社の中でのみ通用する約束事。
それが、一度マスコミなどに明らかにされれば、もう弁明もできないような自分勝手なルールってあるんですよ。

そして、企業の中でつよく働く派閥の力。
銀行、大企業、はては子供の学校まで、論理では動かない組織の仕組みを改めて考えさせられます。

深く読み込むと、すごく大事なメッセージが込められていますよ。

それでも世の中は回っている

たったひとつの不正が、とてもたくさんの人達に影響をあたえていく現代社会。

会社の中にいると、その部署のローカルルールが良くも悪くも全てです。

劇中の、「銀行の常識は世間の非常識」に代表されるように自分たちの論理は、他の世界では全く通用しないことなのに、そのルールを守るため、みんなが汲々としている。

その不正が、世の中にどういう影響や被害を及ぼすのか日々のルーチンワークで想像力をなくしている。
そんな自分を振り返らせてくれる作品でした。

まとめ

物語は、人事を尽くして天命を待つということを極端にしたような結末で、頑張る人は報われるということを信じてみたくなるものでした。
まさか、あの人が最後は赤松社長の命運を決めてしまうなんて。

自分がいくら頑張っても、自分ではどうしようもない事態って必ずあって、それでも頑張り続けるしかないって、ちょっとつらいけど、そうありたいと思わせてくれるものでした。

面白い小説だけど、それだけに留まらない、深く考えさせられる小説です。

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